
ゆめ
雪原をあゆみしのちの目の闇の緑の春はいまだし遠し
朝まだきかまどの湯気ののぼりくる 杵搗く音はすこしくぐもり
掛布団はねのけ土間へかけおりるおもちつきだねお餅搗きだよ
じいちやんが降り下ろす杵つき臼からお餅がはねる相の手が「はい」
ばあちゃんの鼻水ぽとりあんこ餅うる餅芋餅ぬくぬくできた
前髪の毛たぼのかろししぼしぼの赤い鹿の子を桃割れにまく
初髪の桃割れにさすかんざしのつまみ細工に揺れるビラビラ
百足屋の足袋はキャラコの白足袋で小鉤をとめるくすぐつたさに
首すぢにさやるウールの暖かさ母仕立てたる朱の格子縞
夜半の波がシーグラスひとつ零したりやがて涙は枕をぬらす
tamayaさん、ありがとう。
ラベル:短歌