『富士日記』を読んで夜明けに家を出る車のトランク静かに閉めて 柳橋真紀子 『富士日記』を読んだことはない。
夜明けに車のトランクを静かに閉める、それだけで善い。
つかの間にすぎて行く夏あるだけの薔薇を咲かせて前髪きって 小原祥子 嗚呼。
雑踏に手をふるひとが妻となり飯などつくる遠景のまま 松岡修二 結局人は遠景のままなのかもしれない。
あなたは、如何。
桔梗の開きかけたる初花はうちに夜来の雨をためおり 丹後ますみ 桔梗の蕾は、はかないふくろのやうなのだ。
のしかかるごとき豪雨にめざめたる真夜一杯の水を欲りつつ 富樫由美子 一杯の水を飲み、この後作者は何をしたのだろうか。
よく笑ひあだ名「福呼ぶ少年」はかしこみ入学祝辞述べをリ 坂田陽子 ほほとこころを温かくして見てゐるのだ、作者は。
posted by 文(ぶん) at 20:25|
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