短歌人8月号より その6 会員1

晩春に海わたり来る黄砂かぜ富士見橋にて帽子を飛ばす     渋谷和夫    帽子を飛ばす、つていふのはノスタルジック。    だけれど、黄砂はねぇ。    わたし花粉は大丈夫なんだけど、黄砂と共に来る化学物質が駄目なんです。    ほら、PMなんとかつてやつ。 石橋の架かる流れに街燈のともりて湯屋に湯けむりのたつ     阪本まさ子    湯屋…

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短歌人8月号より その5 会員1

妹を置き去りにして来たような 若葉が切ない地蔵峠は     尾沼志づゑ    この峠を越えると、作者の妹が暮らすホームがある。    置き去りにすることは、置き去りにされること。 「尋ね人の時間」のありし頃 水色の便箋一枚程の恋をせり     大鋸甚勇    一字あけの時空間に、作者の恋は閉じ込められ、在り続けてゐる。 錦織のたて結び…

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「五月六月」

  五月六月 五月はや過ぎて朝の雲白し四歳も九十四歳もみる テロ等準備せず集合し恵利さんとかたみに夫の愚痴をいひあふ このおんな凶暴ならずさはされど殺意いだきしいちにんを持つ おほいなるかなしみはくるたらちねの母のゆるびしちちふさ白し 三ヶ月湾洞は海食洞にの一にして岬に黒く口をあけたり  三ヶ月湾洞;みかづきわんど 山径は雑木の中をぬ…

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