短歌人誌 八月号より その一

膨らんだカバンの中の核ボタン大統領とともに旅ゆく     大住迪子    カバンが膨らんでいるというところに、妙な現実感がある。 母にしか言へないことも母だから言へないこともあるね、おやすみ     桃生苑子    母と娘の間には。 聴き返すこと多くなる夫なれば会話つづかぬことを淋しむ     坂東榮子    あぁ、まことさびしい…

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「in 奈良」

  in 奈良 御衣黄の赤がきはまり花房のままに散りしく風吹きしのち 阿修羅像かひなの筒の六本が国宝館の照明にてる しもたやに月当番の木札あり芝突抜町ならまち通り 元興寺塔阯のよこの二階屋に洗濯物のゆれてゐるなり 「鹿せんべいとばし大会」幟あり若草山のふもとまできて 集金用巾着袋をまへにして背広がみたり顔よせゐたり 二月堂…

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