リサイクルショップにコート売れしかばかねて欲しき本を奮発せり 鈴木裕子
奮発できて、良かつた。
盤面に向きあうかぎり勝敗を決めねばならぬ人も機械も 木下真由美
Game の愉しみや何処。
畑の土起こせし火照り残りいて真夜に覚めたり足掻く夢より 根本芳一
並木道にただ一本の四季桜咲きて寒気を和らげてをり 福竹良子
火をともすことならできるそんな気がしている これは会いに行く道 笹川諒
青春だぜ。
ひもすがら雪消の畑にはたらけば蕗の薹のはな七つ八つ咲く 小林恵子
くつたりと肌にやさしき寝巻着て髭剃り終へて父はまどろむ 柊慧
高齢であろうお父さまに注がれる眼差し。
左手にて子を横抱きにし若き母 あの年頃は何でもできたな 木村弘子
そう、あの年頃は、他は何にも見えてゐなかつたな。
語らふもけふを限りと思ひつつかたみに手を振るさりげなく振る 平田侑
別れはさりげなくあらねばならぬ。
魚卵手にうけてゐるとき血が重くなるやうでまた泣いてしまつた かかり真魚
ラベル:短歌